人文学の学校KUNILABO ブックトークシリーズ2023 「『啓蒙思想の百科事典』で啓蒙思想に入門する」

2023/03/28

人文学の学校KUNILABO ブックトークシリーズ2023 「『啓蒙思想の百科事典』で啓蒙思想に入門する」

 

日本18世紀学会の記念事業として『啓蒙思想の百科事典』が刊行されました。

事典は人文学のような学術にとっての最大の入口=ゲートの一つでもあるべきものです。しかし、実際には事典というものをどのように扱ってよいのか、戸惑う人も多いことでしょう。通常の書籍と違って、事典はどのページを開いて、どこから読みはじめてもよいはずですが、逆にいえばある意味で「取り付く島もない」という感覚を惹起します。しかし逆に、一度内部に入り込めさえすれば、その世界に浸り楽しみながら、気づけば知の深みへと一挙に誘われていくことでしょう。

この『啓蒙思想の百科事典』は、「中項目主義」の「読む事典」という形を採用することで、ふつうの読み物のように最初のページから順を追って読んでいける作りとなっており、啓蒙思想・啓蒙文化への入口=門となるような事典を編纂しようと企画されました。とはいえ、前から順に読まなければならないというわけではなく、百科事典は「百学連環」(山本貴光)、つまり知の円環ですから、一度そのループに入り込めば、いわばリンクを踏んでいくように、数珠つなぎに知の相互連関の渦へと没入していくことになることでしょう。

『啓蒙思想の百科事典』はそうして一度知のループをつかまえたら、「☞」などの記号で随所に散りばめられているリンクをたどっていくことで、やがて自由に啓蒙の思想空間を飛びまわることができるようになっており、はるかに広大で無限ともいうべき啓蒙の知の宇宙にとってのいくつかの文脈(コンテクスト)を、パッケージの形で提供することを目指した事典です。

本イベントでは、まず編者でもある長尾伸一氏、小田部胤久氏、上野大樹氏に、この事典プロジェクトの概要をご紹介いただき、それぞれの視点から適宜、いくつかの項目の中身も取り上げていただきます。そのあとコメンテーターとして後藤浩子氏に、編纂者とは異なる外の視点からこの『啓蒙思想の百科事典』について論じていただきます。多くの著者が関わる事典をこうしたブックトークで取り上げるということは、なかなか無謀なこととおもえるかもしれませんが、同時に非常にエキサイティングな試みとなることでしょう。

 

日時:2023年4月7日(金)19:00-20:30

参加費:無料(要登録)

YouTubeライブ配信によるオンライン開催

申込み: http://ptix.at/5tZV7t

登壇者:

 長尾伸一(名古屋大)、小田部胤久(東京大)、上野大樹(慶応大・みんなで読む哲学入門主宰)

コメンテーター:

 後藤浩子(法政大)

司会:

 大河内泰樹(京都大・国立人文研究所代表)